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洗礼者ヨハネの骨の焼却

ヘールトヘンの代表作と伝えられるハールレムの聖ヨハネ騎士団礼拝堂のための三連祭壇画の右翼裏面。中央図の「キリストの磔刑」と左翼は失われている。右翼には初期フランドル絵画で好まれた主題「キリストの死への哀悼」、裏面には右図「洗礼者ヨハネの骨の焼却」が描かれている。
背教者ユリアヌスによって聖ヨハネ信仰を抑制するために行われた洗礼者ヨハネの骨の焼却。画面手前で遺骸が掘り起こされ、骨が焼かれようとしている。遠景左側はヨハネの埋葬、頭部が別に葬られている。中景には聖ヨハネ騎士団の人々の肖像。17世紀のオランダで多く描かれた集団肖像画の早い作例とされている。岩山を利用した風景描写と異時同図表現が融和した画面になっている。ゲントの祭壇画「神秘の子羊の礼拝」で始まったフランドル絵画の風景表現は、メムリンクなどが聖母像の背後に理想的風景を描いてはいたが、あまり展開していなかった。ヘールトヘンが風景と宗教的モティーフを対等の立場とする画面構成を始めたとされている。
一般的に祭壇画の翼画外面には、グリザイユで「受胎告知」が描かれることが多かった時期の作品。分散構図はデューラーの「一万人のキリスト者の殉教(1508年)」に影響を与えたともされている。 
1480年代
ヘールトヘン・トット・シント・ヤンス Geertgen tot Sint Jans
洗礼者ヨハネの骨の焼却
1484年以後 板 油彩 172×139cm
ウィーン 美術史美術館
世界美術大全集14 北方ルネサンス