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石の切除手術

患者の言葉が能書家によるゴシック体の装飾文字で画面上部と下部に記されている。「先生、石(keye)を取り出してください。私の名前はルッベルト・ダスです」。外科医は欺瞞の象徴の「逆さ漏斗」をかぶっているので偽医者、取り出しているのは睡蓮のような花でテーブルにも置かれている。患者に苦痛の表情がないことから、寓意的であることがわかる。女助手もその頭にトリックの指南書を乗せているとされる。
オランダ語の古い諺「頭に石がある」は「阿呆だ」という意味で、患者の名前ルッベルト(Lubbert)は、能なし、薄のろ、のろまなどの意味を言外に持つ言葉に由来するとされる。左中景には絞首台や車刑が描かれていて、欺した連中の行く末も暗示されている。
背景のいくつかのゴシック聖堂のある町とネーデルラントらしい平坦な草原の表現には、風景画家としての才能がみられる。
このテーマは16世紀後半になってもポピュラーなものだったらしい。 1470年代
ボス Hieronymus Bosch
石の切除手術
初期(1475〜85年頃) 板 油彩 48×35cm
マドリード プラド美術館
世界美術大全集14 北方ルネサンス