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聖母を描く聖ルカ

カンパンの写実的で現実的な性格を持つ宗教画を受け継ぎ、ヤンの影響を取り込んだ、ロヒール・ファン・デル・ウェイデンはネーデルラントの人々の信仰心と合う、完成度の高い宗教画を生み出した。
ロヒールは1399年か1400年にトゥルネで生まれた。すでに息子の父になっていた1427年にカンパンに弟子入りし、32年に親方の称号を得ている。1435年にはブリュッセルに住み、市の画家になっている。1450年の聖年にローマへ巡礼、1464年ブリュッセルで死去した。
聖母が天蓋の下で謙遜のポーズで座り幼児に乳を与えていて、福音書記者聖ルカがその様子を写している。紙の上には聖母の頭部がうっすらと銀筆で素描されている。
聖ルカは画家組合の守護聖人で、この作品はブリュッセルの組合付属礼拝堂のために描かれたらしい。カンパンも同様の作品をトゥルネの組合のために描いたことがわかっている。右端の書斎にはルカの象徴の牡牛が描かれ、机の上に開かれた福音書が置かれている。
構図はヤン・ファン・エイクの「宰相ロランの聖母」からとられている。部屋の開口部は、聖母の純潔を象徴する「閉じられた庭」に続いているが、「宰相ロランの聖母」のような複雑な高低差や風景表現はみられない。 1430年代
ロヒール・ファン・デル・ウェイデン Rogier van der Weyden
聖母を描く聖ルカ
1435年頃 板 油彩 137.5×1108cm
ボストン美術館
世界美術大全集14 北方ルネサンス