
授乳の聖母
聖母はベンチの足置きに座っていて、室内型の「謙遜の聖母」の姿で描かれている。謙遜の聖母は14世紀前半のイタリアで生まれた新しい図像で、幼子に授乳しながら床に座るのが基本形。聖母は自らを低くすることでより高い存在となり、その乳房は人々の救済を神にとりなす際の重要な道具になる。乳首を指で挟んでいる仕草にはリアリティがある。
聖母の姿は他の家具と比べて大きく描かれている。上に炎の先が見える、暖炉の火除けが光輪の代わりとなっているが、カンパンは日常世界のなかに聖母を描こうとしていた。
長いベンチや釘が打たれたシャッターなどは他の作品でもみられる。床は遠近法によっていないため歪んでいるように見え、窓からの風景でこの部屋が高い位置にあることがわかる。
原画の上約3cm、右約9.5cmほどが切り取られ、後にほぼもとの大きさに広げられている。右の聖杯とそれを載せた戸棚は後から描き加えられている。
1430年代
ロベール・カンパン Robert Campin
授乳の聖母
1430年頃 板 63.5×49cm
ロンドン ナショナル・ギャラリー
世界美術大全集14 北方ルネサンス
聖母の姿は他の家具と比べて大きく描かれている。上に炎の先が見える、暖炉の火除けが光輪の代わりとなっているが、カンパンは日常世界のなかに聖母を描こうとしていた。
長いベンチや釘が打たれたシャッターなどは他の作品でもみられる。床は遠近法によっていないため歪んでいるように見え、窓からの風景でこの部屋が高い位置にあることがわかる。
原画の上約3cm、右約9.5cmほどが切り取られ、後にほぼもとの大きさに広げられている。右の聖杯とそれを載せた戸棚は後から描き加えられている。
1430年代
授乳の聖母
1430年頃 板 63.5×49cm
ロンドン ナショナル・ギャラリー
世界美術大全集14 北方ルネサンス
