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ルッカの聖母

聖母は狭く質素な部屋の中央にある玉座に座っている。その玉座は豪華な天蓋で飾られ、四方には獅子の像が飾られている。旧約聖書「列王記略」に由来する「知恵の座」で聖母を象徴しているとされる。左端には窓があり、そこからの光が室内を明るくしている。右の壁龕には水差しやたらいが置かれている。「アルノルフィーニ夫妻の肖像」やゲント祭壇画の「受胎告知」を思わせる。
玉座に座り、神の母としての威厳を示す縁飾りのついた衣裳を着けた聖母が授乳している。威厳あふれる姿の聖母が、同時に慈愛に満ちた母として描かれている。中世末期には聖母の聖と俗を混在させた作品が見られるとされるが、15世紀前半という限られた時期だけの作例なのかもしれない。
以前イタリアのルッカ公のコレクションに入っていたため、このように呼ばれることが多い。
1430年代
ヤン・ファン・エイク Jan van Eyck
ルッカの聖母
1436年頃 板 油彩 65.5×49.5cm
フランクフルト シュテーデル美術研究所
世界美術大全集14 北方ルネサンス