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宰相ロランの聖母

宮殿の最上階にある礼拝室のようなところで、寄進者ロランは祈りを捧げている。聖母の膝に乗った幼児キリストは左手に全世界を象徴する十字架がついた球を持ち、右手でロランに祝福を与えている。聖母の頭上では天使が宝冠をかぶせようとしている。
アーケードの先にはテラスのような中庭があり、聖母を象徴する花々が咲いていて、城壁の近くには遠くの景色を見ているような二人の人物が描かれている。聖母子の背景には都市、ロランの背景には田園の風景が描かれ、川は蛇行しながら流れ、遠くの雪を頂いた山脈まで風景が広がっている。
中世では寄進者は小さく描かれることが多かったが、ロランと聖母子は直接対峙しているように描かれている。また視点を高くとることで背景に風景が広がっている。
ロランはブルゴーニュ公国政界の大物で、出身地オータン大聖堂のために制作されたのかもしれない。宮廷画家としての作品が残されていないなかで、宮廷画家ヤンを思わせる作品。
1430年代
ヤン・ファン・エイク Jan van Eyck
宰相ロランの聖母
1434年頃 板 油彩 66×62cm
パリ ルーヴル美術館
世界美術大全集14 北方ルネサンス