パノフスキーによって、当時ブリュージュに住んでいたイタリアの商人ジョヴァンニ・アルノルフィーニとその妻との結婚記念図とされた作品。写実的描写の中にキリスト教の象徴が描かれていることが指摘されている。画面左下には脱ぎ捨てられたサンダル、シャンデリアには1本の火がともされた蝋燭など。
奥の壁には凸面鏡が描かれている。凸面鏡には夫婦の後ろ姿、そして夫婦と向き合う二人の人物が写っている。この二人のうち一人が結婚の証人として立ち会っている、ヤン・ファン・エイクだとされている。パノフスキーの説には圧倒されるほどの説得力があるが、異なる立場から見直そうとする動きもみられる。
この作品には蓋があって、その裏面に婦人の入浴場面が描かれていたという説もある。　1430年代

ヤン・ファン・エイク　Jan van Eyck
アルノルフィーニ夫妻の肖像
1434年　板　油彩　81.8×59.7cm
ロンドン　ナショナル・ギャラリー
世界美術大全集14　北方ルネサンス