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アンジェの黙示録

1375年頃アンジュー公ルイ1世(1339〜1384)がニコラ・バタイユに注文し、ジャン・ボンドルの下絵をもとに制作された6枚組のタピスリー。
アンジュー公家の財宝として保管されていたが、1480年頃ルネ王の遺言によってアンジェ大聖堂に寄贈され、18世紀まで年4回(聖モーリスの祝日、クリスマス、復活祭、聖霊降臨祭)だけ堂内に掲げられる貴重なタピスリーとして保管されていた。
18世紀後半になると趣味の変化から、売りに出されたが買い手が見つからなかったらしい。19世紀になると司教館に移され、放置されていたが、世紀中頃に再発見され、修復された。
1902年に「69図と9断片を含む7枚」の「アンジェの黙示録」は重要文化財に認定され、1954年にアンジェ城内にタピスリー美術館が開設され常設展示された。1981年タピスリー美術館改装が行われ、その機会にタピスリーの修理が行われた。裏打ちを外すと、退色した表面に比べて鮮やかな色彩が現れ、糸の処理も完全で表と同様の仕上げであることがわかった。調査報告書には裏側の写真が左右逆にして掲載されている。調査の結果、19世紀に7枚と考えられていたタピスリーは、各6×23メートルの6枚組であるとされた。
1373年から80年にかけてアンジュー公が兄シャルル5世の蔵書の中から、フランス語訳黙示録をタピスリー制作のために借りていたことが解っている。13世紀から14世紀にかけて制作されたアングロ・ノルマン黙示録と呼ばれる写本群を調べて、それぞれのタピスリーが左端に大人物像を置き、上下2段各7図で構成されていることが解った。