
リチャード2世 寵臣政治と無慈悲議会
ワット・タイラの一揆の後、貴族院の貴族たちも庶民院のジェントリや都市民たちも、資産所有者としての立場を守ろうとした。
1382年リチャード2世(15歳)はアン・オブ・ボヘミアと結婚した。フランスとの戦争はフランドルでもフランスが勝利して、フランドルはフランスの支配下に入った。1385年王はスコットランドに侵入したが、その成果は長くは続かなかった。
1385年スコットランドから戻ったリチャードは数人の側近に爵位を与えた。二人の叔父をヨーク公、グロスタ公とし、尚書部長官マイケル・ド・ラ・ポールをサフォーク伯、寵臣ロバート・ド・ヴィアをオクスフォード伯、すぐにアイルランド侯、さらにアイルランド公とした。二人の叔父は広大な領地支配者で、ド・ラ・ポールは行政官僚だったが、ド・ヴィアはアイルランドに支配力はなく、公は王の側近としての名目的な称号にすぎなかった。
サフォーク伯とアイルランド公は有力諸侯を宮廷から遠ざけ、宮内府に権力を集中させ議会を軽んじる統治方法をとり、王の権力や財産を私物のように扱った。
1386年ランカスタ公が再婚相手の権利をとおして、カスティリャ王位を主張してイギリスを去った。公への遠慮がなくなると、サフォーク伯と対立して王の恩顧からはずされていたグロスタ公の周囲の人々から寵臣政治への不満の声が上がった。コモンズは王が土地や財産を寵臣に恩顧として与えることを咎め、王が議会の同意を得ずに課税することはできないと主張した。
1382年リチャード2世(15歳)はアン・オブ・ボヘミアと結婚した。フランスとの戦争はフランドルでもフランスが勝利して、フランドルはフランスの支配下に入った。1385年王はスコットランドに侵入したが、その成果は長くは続かなかった。
1385年スコットランドから戻ったリチャードは数人の側近に爵位を与えた。二人の叔父をヨーク公、グロスタ公とし、尚書部長官マイケル・ド・ラ・ポールをサフォーク伯、寵臣ロバート・ド・ヴィアをオクスフォード伯、すぐにアイルランド侯、さらにアイルランド公とした。二人の叔父は広大な領地支配者で、ド・ラ・ポールは行政官僚だったが、ド・ヴィアはアイルランドに支配力はなく、公は王の側近としての名目的な称号にすぎなかった。
サフォーク伯とアイルランド公は有力諸侯を宮廷から遠ざけ、宮内府に権力を集中させ議会を軽んじる統治方法をとり、王の権力や財産を私物のように扱った。
1386年ランカスタ公が再婚相手の権利をとおして、カスティリャ王位を主張してイギリスを去った。公への遠慮がなくなると、サフォーク伯と対立して王の恩顧からはずされていたグロスタ公の周囲の人々から寵臣政治への不満の声が上がった。コモンズは王が土地や財産を寵臣に恩顧として与えることを咎め、王が議会の同意を得ずに課税することはできないと主張した。
グロスタ公は議会の要求に基づいてサフォーク伯を尚書部長官から解任するように求め、一方コモンズはサフォーク伯を弾劾し、罰金を科して、恩寵で得た土地・財産は没収された。議会で任期1年の常設評議会を設置することが決まり、国政と王の宮廷を監視することになった。
王は評議会政治の恒常化を懸念して、裁判官に評議会の不法性を判決させ、1387年7月ウェールズで集めた兵を率いてロンドンへ向かった。グロスタ公ほか反逆罪告発貴族と呼ばれた側も武器を取り、ロンドン市外で支持を求めた。サフォーク伯は海外へ亡命、アイルランド公は兵を集めてロンドンへ向かったが、戦いに敗れて海外に逃亡した。
1388年2月、無慈悲議会と呼ばれた議会で、グロスタ公らは王の側近5名を反逆罪で告発し、サフォーク伯とアイルランド公には欠席のまま死刑が宣告された。
常設評議会が任期どおり1年で終了すると、王は親政宣言をおこなって、グロスタ公らを評議会から追放して再び主導権を握った。ランカスタ公が帰国したこともあって、王の恣意は抑えられ、1393年まで安定した政治状況が続いた。
1380年代
世界各国史11 イギリス史
王は評議会政治の恒常化を懸念して、裁判官に評議会の不法性を判決させ、1387年7月ウェールズで集めた兵を率いてロンドンへ向かった。グロスタ公ほか反逆罪告発貴族と呼ばれた側も武器を取り、ロンドン市外で支持を求めた。サフォーク伯は海外へ亡命、アイルランド公は兵を集めてロンドンへ向かったが、戦いに敗れて海外に逃亡した。
1388年2月、無慈悲議会と呼ばれた議会で、グロスタ公らは王の側近5名を反逆罪で告発し、サフォーク伯とアイルランド公には欠席のまま死刑が宣告された。
常設評議会が任期どおり1年で終了すると、王は親政宣言をおこなって、グロスタ公らを評議会から追放して再び主導権を握った。ランカスタ公が帰国したこともあって、王の恣意は抑えられ、1393年まで安定した政治状況が続いた。
1380年代
世界各国史11 イギリス史