
キリスト騎士団 新設
ドウロ川以南で展開していたコンセーリョ(辺境の防衛組織、征服地植民の共同体)も国王集権の対象になった。都市や村落のコンセーリョは国王や領主からフォラル(特許状)を与えられていて、租税や裁判に関する権利・義務が定められていた。コンセーリョはオーメン・ボンによる議会をもち、裁判官や財務官を選出していた。限定的ではあるが自治権をもち、1254年レイリアで開かれたコルテス(王国の身分制議会)には、はじめて有力なコンセーリョから代表が参加した。王権は裁判行政を監察する名目で、13世紀半ばからメイリニョ(国王代官)、14世紀にはコレジェドールを派遣して裁判行政を占有していった。
モンデーゴ川以南では、国王がコンセーリョとした主要都市を除いた、広大な領地がテンプル、カラトラヴァ、サンティアゴ、ホスピタル各宗教騎士団に譲渡され、大土地所有制度が発展していた。ディニスは1288年、サンティアゴ騎士団をカスティーリャから切り離して独立させた。また、1312年に廃止されたテンプル騎士団の財産を、1319年に教皇から新設の認可を得た「キリスト騎士団」に移し、王権の支配下においた。
「農夫王」ディニスは農業の振興のために植民や干拓を奨励した。また多くの入植地に定期市の開設を許可する特許状を発布している。海外貿易も活発になり、1303年にはイギリスから貿易特権を得ている。貿易の拠点になったのは、1255年に首都となったリスボンとポルト。1248年にセビーリャが征服され、ジブラルタルから大西洋への出口が確保されると、13世紀後半にイタリアとフランドルの間で定期航路が開設され、ジェノヴァ商人はリスボンに居留区を得るようになった。海賊も目立つようになり、1317年、ディニスはジェノヴァからエマヌエレ・ペサーニョを世襲提督として招聘し海軍を創設した。ジェノヴァ人の貿易、金融、航海の知識と資本はポルトガルにとって貴重なものだった。
1330年代以前 ヨーロッパ史年表
モンデーゴ川以南では、国王がコンセーリョとした主要都市を除いた、広大な領地がテンプル、カラトラヴァ、サンティアゴ、ホスピタル各宗教騎士団に譲渡され、大土地所有制度が発展していた。ディニスは1288年、サンティアゴ騎士団をカスティーリャから切り離して独立させた。また、1312年に廃止されたテンプル騎士団の財産を、1319年に教皇から新設の認可を得た「キリスト騎士団」に移し、王権の支配下においた。
「農夫王」ディニスは農業の振興のために植民や干拓を奨励した。また多くの入植地に定期市の開設を許可する特許状を発布している。海外貿易も活発になり、1303年にはイギリスから貿易特権を得ている。貿易の拠点になったのは、1255年に首都となったリスボンとポルト。1248年にセビーリャが征服され、ジブラルタルから大西洋への出口が確保されると、13世紀後半にイタリアとフランドルの間で定期航路が開設され、ジェノヴァ商人はリスボンに居留区を得るようになった。海賊も目立つようになり、1317年、ディニスはジェノヴァからエマヌエレ・ペサーニョを世襲提督として招聘し海軍を創設した。ジェノヴァ人の貿易、金融、航海の知識と資本はポルトガルにとって貴重なものだった。
1330年代以前 ヨーロッパ史年表
