地中海 12・13世紀
第1回十字軍は陸路レヴァント地方へ向かったが、その補給には船舶の利用が必要だった。第2次以降の十字軍の輸送・補給にジェノヴァ、ピサ、ヴェネツィアの艦隊が使われ、エルサレム王国が成立するとイタリア商人は商業特権を与えられた。
十字軍はイタリア商人(キリスト教徒商人)が積極的に東方貿易に参加する機会にもなった。インド洋・南シナ海貿易が活発になり、シリアやエジプトの商人のもとに東方の貴重な商品が大量に入っていた。
イスラム教徒側では、セルジューク人、ファーティマ朝ともに内紛が起こり、十字軍に対抗できる勢力はダマスカスから救援のために来たサラディン(在位1171〜93)が興したアイユーブ朝で、エルサレム、ダマスカスをキリスト教徒から占領、アッバース朝カリフからシリアの支配権を認められた。
紅海ルートではアデン・ジッダ・スエズと直行するルートとジッダから陸路ダマスカス・レヴァント地方へ向かうルートがあった。港ではアクレ(イスラエル北部)が重要で、イタリア商人が香料その他を買い付けていた。しかし1291年にアクレがマムルーク朝に占領され、イタリア商人は別のルートを探した。
イル汗国はマムルーク朝と対立していて、ペルシャ湾のホルムズ・タブリーズ・トレビゾンド(黒海南岸)のルートを維持していた。香料などインド洋貿易の商品にペルシャ産の絹製品、没薬・染料・真珠などが加わって、そこにイタリア商人が進出した。
十字軍はイタリア商人(キリスト教徒商人)が積極的に東方貿易に参加する機会にもなった。インド洋・南シナ海貿易が活発になり、シリアやエジプトの商人のもとに東方の貴重な商品が大量に入っていた。
イスラム教徒側では、セルジューク人、ファーティマ朝ともに内紛が起こり、十字軍に対抗できる勢力はダマスカスから救援のために来たサラディン(在位1171〜93)が興したアイユーブ朝で、エルサレム、ダマスカスをキリスト教徒から占領、アッバース朝カリフからシリアの支配権を認められた。
紅海ルートではアデン・ジッダ・スエズと直行するルートとジッダから陸路ダマスカス・レヴァント地方へ向かうルートがあった。港ではアクレ(イスラエル北部)が重要で、イタリア商人が香料その他を買い付けていた。しかし1291年にアクレがマムルーク朝に占領され、イタリア商人は別のルートを探した。
イル汗国はマムルーク朝と対立していて、ペルシャ湾のホルムズ・タブリーズ・トレビゾンド(黒海南岸)のルートを維持していた。香料などインド洋貿易の商品にペルシャ産の絹製品、没薬・染料・真珠などが加わって、そこにイタリア商人が進出した。
エジプトはキリスト教徒の敵だったが、アイユーブ朝の時代イタリア商人は自由にエジプト国内を旅行できた。マムルーク朝時代の前半は住む場所をデルタ地帯に制限され、第6次十字軍(1248〜54)でルイ9世がカイロ攻撃を計画するとイタリア商人はアレクサンドリアから追放された。
1254年ヴェネツィア人はスルタンと協定を結んで貿易を再開、1345年には教皇の許可を得て通商協定を結び紅海ルートの香料をヨーロッパで独占販売できるようになった。
またイタリア商人は戦略物資をイスラム側に売っていた。武器の輸出はなかったが、材木・鉄・銅・ピッチなどエジプトでは産出しない物資がエルサレム王国経由でエジプトに売られた。
インド洋貿易でヨーロッパの支払いの多くは金などの貴金属が使われた。12世紀になるとヨーロッパからの輸出品に毛織物が加わり、レヴァント地方・西アフリカにも輸出された。またヨーロッパ内部で絹の生産も広がった。アラブ人によってビザンツ帝国からスペイン・シチリアに広められ、12世紀にはイタリア各地でも生産されるようになった。絹は東洋の稀少品ではなくなり、シルクロードの時代は終わった。
それまでの航海・交易 大航海時代 年表・項目
マムルーク朝とイル・ハン国の興隆 1250〜1300
世界史アトラス 集英社
1254年ヴェネツィア人はスルタンと協定を結んで貿易を再開、1345年には教皇の許可を得て通商協定を結び紅海ルートの香料をヨーロッパで独占販売できるようになった。
またイタリア商人は戦略物資をイスラム側に売っていた。武器の輸出はなかったが、材木・鉄・銅・ピッチなどエジプトでは産出しない物資がエルサレム王国経由でエジプトに売られた。
インド洋貿易でヨーロッパの支払いの多くは金などの貴金属が使われた。12世紀になるとヨーロッパからの輸出品に毛織物が加わり、レヴァント地方・西アフリカにも輸出された。またヨーロッパ内部で絹の生産も広がった。アラブ人によってビザンツ帝国からスペイン・シチリアに広められ、12世紀にはイタリア各地でも生産されるようになった。絹は東洋の稀少品ではなくなり、シルクロードの時代は終わった。
それまでの航海・交易 大航海時代 年表・項目
世界史アトラス 集英社