大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

ベアトゥスによる地図

ベアトゥスはベネディクト会修道士で北スペイン山中の修道院で暮らしていた。アラブの侵攻でキリスト教徒は北部に避難していた。この地図は文字はラテン語だがイスラム風に描かれている。分布帯地図、TO図に新しいイスラムからの情報を加えて作られたもの。
766年ベアトゥスは黙示録の注釈をまとめた写本を制作した。それには宣教師たちの行き先を示した世界地図など75枚の挿絵が描かれていた。原本は残されていないが11世紀に作られた写しが残されている。
地図は東が上。上部中央の、周りを囲まれたエデンの園でアダムのそばにいるイヴがリンゴを採ろうとしている。楽園から流れているのはガンジス、インダス、チグリス、ユーフラテスの4つの川。周囲を取り巻く海の中、左下にはイギリスと思える5つの都市のシンボルがある。
セイロン島(タプロバーネ・インド)が黄色で大きく描かれているが、ギリシャ人が知っていたこの島を紀元20年頃にローマ人が再発見し、以後交易者が頻繁に訪れていた。より東方の島々も含んだ名前だったらしい。
地図の右端に対蹠地(たいせきち アンティポーデ)が描かれている。遙か南に未知の第4番目の部分があると考えられていた。またエデンの園の南側にある東アジアについては空想的なことが多く書かれている。