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アル・イドリシの地図

アル・イドリシ(1100〜65年頃)はセウタ(モロッコ)の名家出身の学者。10代の頃から国内を旅行、その後スペイン・地中海・中東・イギリスを訪れた。
1138年シチリアのルッジェーロ2世に招かれ、パレルモに赴いて廷臣となった。ルッジェーロ2世は芸術、科学、地理、地図製作に強い関心を持っていた。アル・イドリシはキリスト教徒の学者とともに70の区画に分かれた世界中の地図を製作した。それらの地図を縮尺、概略化したのがこの地図。
キリスト教徒・イスラム教徒の学者、ローマ人、プトレマイオスなどの情報をもとに製作されている。イスラムの原理に基づき南を上に作られたが、上の地図は見やすいように北を上にしている。
赤道から北に気候帯を表す赤い線が見える。この線が円弧であることからイスラム世界では地球球体説だったことか解る。アフリカ大陸が東に大きく描かれているが、東南アジアのマレー半島とはつながっていない。プトレマイオスと違っているのは船乗りなどの情報によるものかもしれない。