大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

フーケ

ジャン・フーケ Jean Fouquet
1420〜1480頃

トゥールに生まれ、1445年から47年頃にかけてイタリアに行っていたらしい。イタリアの建築家フィラレーテが著書「建築論(1462年頃)」で、フーケが教皇エウゲニウス4世の肖像を描いて、生けるがごとき肖像と讃嘆されたと書いている。この教皇像は失われている。ローマの他に訪れた都市は不明だが、フェラーラで宮廷に仕えていた道化ゴネラの肖像を描いた、とされている。
1448年頃にはトゥールに居を構え、絵画制作だけでなく王侯の入市の際の祭典飾り付けなども行っている。この頃シャルル7世・ルイ11世の宮廷はトゥールに置かれていて、フーケはルイ11世の宮廷画家になっている。何度かパリへ行くこともあったらしいが、生涯トゥールで過ごし1480年死去した。
画家としての名声は16世紀半ばまで続いていたが、その後忘れられ19世紀になって再発見された。基準作とされるのが写本「ユダヤ古代史」の挿絵、様式比較や記録との対照などで作品群が想定されている。1440年代「ゴネラの肖像」、40年代後半から50年頃「シャルル7世の肖像」、50〜60年代に「ヌアンのピエタ」とされるが異説もある。
大商人でシャルル7世の財務長官だったエティエンヌ・シュヴァリエ(?〜1474)のために1450年代初期に「ムランの二連祭壇画」と時禱書を制作している。この時禱書は挿絵の部分だけが切り取られシャンティイに40枚、全部で47枚が残されている。イタリアで得た透視図法が室内空間の表現に活用され、キリスト伝・聖人伝が15世紀のフランスの風景の中で、同定可能な人物を登場させながら描かれている。