大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

パックス・ヴェネタ(ヴェネツィアの平和と繁栄)

パラッツォ・ドゥカーレ、大評議会広間天井画、中央軸に置かれた3点のうちの1点。正面壁の「天国(ティントレット 1588〜92年)」に近い位置にある。天国が神学的に、「パックス・ヴェネタ」は世俗的・現世的に共和国の理想的運命を表しているとされる。
1580年代半ばに書かれたとされる装飾プログラムには「ヴェネツィアの像は、ローマの像が世界の上に座すように、都市と塔(大地?)の上に座り、その頭上には翼のある勝利が月桂樹の冠を運んでくる。周囲には古代人が定めた衣裳と標章の方式に従って平和、豊穣、名声、幸福、名誉、安全、自由の像が表され、またさまざまな服装・姿形をした大勢の老若男女が喜び祝っている」と記されている。
ヴェロネーゼは背景に、螺旋柱を持つ凱旋門のような建物を置き、ヴェネツィアと諸美徳の像を乗せた雲が降りてくるように描いている。最下部の騎馬の兵士たちは構図を締めているが、共和国を支える基盤としての軍事力を表している。この作品には素描による構図ひな型と、ペンとチョークによる細部習作が残されている。弟子の手が加わっているとされるが、バロック絵画を先取りしてもいる。
1570年代
ヴェロネーゼ Veronese
パックス・ヴェネタ(ヴェネツィアの平和と繁栄)
1579〜82年頃 カンヴァス 油彩 904×580cm
ヴェネツィア パラッツォ・ドゥカーレ 大評議会広間
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3