大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

ヴィーナスとマルス

1576年、プラハのルドルフ2世が神聖ローマ皇帝の冠を受け、ティツィアーノはその生涯を終えている。ヴェロネーゼはティツィアーノの後継者としての活動を始めている。
古代の廃墟を背景に、幼いキューピッドがヴィーナスと軍神マルスの足をリボンで結んでいる。右奥では情景に入ろうとしているマルスの馬(抑制されない激情の象徴)をもう一人のキューピッドが抑えている。
ヴェロネーゼがルドルフのために描いた神話画連作は複雑な寓意的内容を含んでいて、正確な内容の解読は難しいとされる。マルスの攻撃的・破壊的力が、愛を通じて和らげられ教化される、というのが大筋、さらに踏み込んだ寓意解釈もされている。
秋の風景が人物を柔らかく包み、蔦のからんだ壁がヴィーナスの裸身を際立たせている。背景には「音楽」でも描かれていた牧神の像も見える。
1570年代
ヴェロネーゼ Veronese
ヴィーナスとマルス
1578年頃 カンヴァス 油彩 205.7×161cm
ニューヨーク メトロポリタン美術館
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3