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荊冠のキリスト

ティツィアーノは1542〜44年頃に「荊冠のキリスト」をほぼ同じ構図で描いている。晩年になるとすでに制作された評判のいい作品のレプリカや改作が増えたとされている。
未完で残されていることで、晩年の制作過程が想像できる。何度も描き直され、ふるえるような筆触の厚塗り、指によるグレーズの賦与など、手を入れては放置し、思い返しては手を加えていったらしい。どの程度仕上げられているのか判断するのは難しい。
この作品は画家の死後工房に残されていたもので、画家ヤコポ・ティントレットが買い取り、その息子によってバイエルン選帝侯に売却された。
グレーズは絵の具をとても薄く溶いて、透明な絵の具を重ねていく技法
1570年代
ティツィアーノ Tiziano
荊冠のキリスト
1570年頃 カンヴァス 油彩 280×182cm
ミュンヘン アルテ・ピナコテーク
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3