大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

謁見の間(部分)

若い公爵コジモ1世(1519〜74、フィレンツェ公1537〜69、トスカーナ大公1569〜74)の統治の正統性を示すために、おこなわれた初めての大広間(謁見の間)装飾。フィレンツェには根強い反メディチ、共和制復興運動があり、圧制者を倒したブルートゥスを自由のための英雄として崇拝する伝統があった。共和主義者ミケランジェロ「ブルートゥスの胸像(1540年頃)」。この頃にも、フィレンツェ包囲後、専制君主となったフィレンツェ公アレッサンドロ・デ・メディチを暗殺(1537年)したロレンツィーノを、ブルートゥスとみなすような雰囲気があった。
それに対抗して、コジモ1世の統治の正統性を示すために、コジモ1世のモンテムルロの勝利、トスカーナ公国の拡大を、古代ローマの将軍カルミスがヴェイイでエトルリア人に勝利して領地を拡大したことにたとえている。
下段には描かれた浮彫彫刻と建築、上段はヴェイイ勝利の後のカミルスの凱旋行列。部屋の正面壁には、二人の縛られた捕虜を従えて戦争の火を消そうとしている「平和」の寓意が描かれ、コジモの統治の安泰と堅固を表している。

世界美術大全集15 マニエリスム
画像 フィレンツェ・ルネサンス6 日本放送出版協会
カルミスの勝利(部分) 1540年代