「聖パウロの改宗」の対壁に描かれた「聖ペテロの殉教」。初めは「ペテロへの鍵の授与」の予定だったが変更された。聖ペテロの殉教については聖書に記載はなく、「黄金伝説」などによっているとされる。
捕らえられたキリストを知らないと言って裏切ったペテロは、主と同じ磔刑にされるのを恥じて、逆さになることを望んだと伝えられる。ペテロは顔を向け、見る者の方を見つめている。周りの人々のなかにミケランジェロの自画像とされるものもある。
1549年10月、パウルス3世は足場に登って完成前の壁画を見ている。その1ヵ月後教皇が死去したため、ミケランジェロは急いでこの作品を仕上げたとされる。この礼拝堂で新しい教皇の選挙が行われ、足場が取り払われることになっていた。
1540年代

ミケランジェロ　Michelangelo
聖ペテロの殉教
1545〜49年　フレスコ　625×662cm
ヴァティカーノ宮パオリーナ礼拝堂
世界美術大全集12　イタリア・ルネサンス2