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クレメンス7世

セバスティアーノは何度かクレメンス7世の肖像を描いている。髭がないため、最も初期、ローマ劫略(1527年)前、1526年の作品と考えられている。
頭部を頂点に両腕で三角形をなし、身体は右を向いているが、顔は左に向いている。身体の軸を中心に力を分散させるポーズは、ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂天井画から学んだとされる。ラファエロやティツィアーノが描いた教皇の肖像画では豪華な衣裳が目立つが、この作品では装飾は省かれ、暗緑色の背景に緋色の短いケープとくすんだ白と灰色で衣裳が描かれている。
クレメンス7世(在位1523〜34)、ジュリオ・デ・メディチはロレンツォ・イル・マニフィコ(豪華王)の弟ジュリアーノの庶子で教皇レオ10世の従兄弟。宗教改革などへの対応に追われた。
セバスティアーノは1531年に教皇庁の鉛封印(ピオンボ)の職に就いた。安定した収入が得られるようになったためか、その後制作意欲を低下させてしまった。本名はセバスティアーノ・ルチアーニ、署名はヴェネツィア人セバスティアーノ(Sebastianus Venetus)としていたが、通称は職名から呼ばれるようになった。
1520年代
セバスティアーノ・デル・ピオンボ Sebastiano del Piombo
クレメンス7世
1526年 カンヴァス 油彩 145×100cm
ナポリ 国立カポディモンテ美術館
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3