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槍を持つ兵士の肖像

ヴァザーリが皇帝軍によるフィレンツェ攻囲(1529〜31)の際の共和派市民兵の肖像と伝える作品。1989年のオークションでゲッティに高値で購入されたが、その際の鑑定ではメディチ家のコジモの肖像とされた。1612年にリッカルディ家の所蔵になっていたが、その目録ではコジモの肖像となっている。
赤いベレーと赤いズボン、長い槍は市民兵のもので、ベレーにつけられた「ヘラクレス」も防衛司令官ミケランジェロの作品への讃美だったとされる。
一方、ポントルモの「マリア・サルヴィアーティとコジモの肖像」と対をなすコジモの肖像で、ほかの画家によるコジモの肖像と容貌が似ているとする説もある。
共和派市民兵とメディチ家のコジモ、正反対の立場のモデルだがコジモとする研究者が多い。ポントルモも、その師匠ミケランジェロとともに共和派だったのか、メディチ家からの注文で作品を制作していたため親メディチ派だったのか、どちらを支持していたのか知られていない。ポントルモの作品には、権力体制のもとに生きる知識人の鬱屈と苦悩が反映されている。

世界美術大全集15 マニエリスム
1520年代
ポントルモ
槍を持つ兵士の肖像
1529〜32年頃 板(カンヴァスに移行)油彩 92×72cm
アメリカ カリフォルニア州マリブ
ポール・ゲッティ美術館