大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

巨人族の没落

ヴァザーリは「この部屋に入った人は窓や扉やその他のものがみな湾曲していまにも崩れ落ちそうであり、山や建物がいまにも崩壊するように思うだろう。すべてのものが彼の頭上に落ちてくるように思って恐怖するのみである」と記している。
天井には描かれた採光窓(ランテルナ)、雲に包まれた神殿に、ユピテルが君臨し、妻ユノ、ヘラクレス、メルクリウス、ヴィーナス、アポロなどオリュンポスの神々がいる。オウィディウスの「変身物語」を典拠としている。巨人族の反逆は皇帝アウグストゥスに対する反乱だったが、この作品は、皇帝権を確立しようとしていたカール5世による反乱分子への懲罰の寓意とされている。
フェデリーコ・ゴンザーガは少年時代を教皇庁の人質として、ユリウス2世の保護を受けて育ち、ルネサンス最盛期のローマ文化に親しんでいた。
1521年軍指揮官になって、1525年にはパヴィーアでの勲功でカール5世から「オリュンポス山」の標章を与えられた。不整形のピラミッドの岩山の紋章は宮殿内で多く見られる。レオ10世、ハドリアヌス6世が教皇庁の防衛軍指揮者に任命しているが、母イザベッラ・デステは皇帝に逆らうことを牽制していた。1527年の「ローマ劫掠」の際には皇帝軍の進入を許すことになった。その後、1529年に教皇と皇帝の同盟軍がフィレンツェ討伐をおこなった時は軍を率いて参加して、1530年にカール5世はマントヴァを公国とし、フェデリーコを公爵とした。
世界美術大全集15 マニエリスム 1520年代 拡大図1 2
ジュリオ・ロマーノ
巨人族の没落
1528〜34年 フレスコ
イタリア マントヴァ パラッツォ・デル・テ