オウィディウスの「変身物語」から取られたペルセウスの物語。海の怪物への生け贄として海岸の岩につながれていたエチオピア王の娘アンドロメダに、空を飛んでいたペルセウスが一目惚れ、怪物を退治して王女を救い出し、花嫁にする。
中央に怪物、右上から飛んできたペルセウスが怪物の上で剣をふるっている。その左には木につながれたアンドロメダ。前景左では王ケペウスと半裸の母カッシオペ、家臣たちが悲しんでいる。右では解放されたアンドロメダとペルセウスを王が迎え、人々が楽器を奏でて祝っている。
ヴァザーリは「風景はきわめて美しく、甘美で優雅な色づかいで描かれている。そして色彩の融合とぼかしの手法が、この作品をこの上なく精緻なものにしている」と称賛している。

左上で抱き合う若いカップルは、ペルセウスがアンドロメダに向かって言った言葉「おお、そんな鎖にはふさわしくないあなただ。慕い合う恋人どうしを結びつける、目に見えぬ鎖こそがふさわしいのに」を形象化したものとされている。
1510年代

ピエロ･ディ･コジモ　Piero di Cosimo
アンドロメダを救うペルセウス
1510年頃　板　油彩　70×123cm
フィレンツェ　ウフィツィ美術館
世界美術大全集11　イタリア・ルネサンス1