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聖母被昇天

1516年ジョヴァンニ・ベリーニが死去して、20代後半のティツィアーノはヴェネツィア絵画界の第一人者になった。ヴェネツィア最大のフランチェスコ修道会聖堂の主祭壇画「聖母被昇天」でその名声は確立された。
画面上部では若々しい母として甦ったマリアが天使たちの合唱に囲まれて、父なる神が待つ天国へ昇っている。画面下部、地上ではマリアの墓を囲んで12人の使徒たちが驚きながら、奇跡を見上げている。
画面を上下に分けるのはラファエロの「聖体の論議(1509年 ヴァティカーノ宮 署名の間)」からの影響があったとされる。ティツィアーノはローマへ行っていないが、スケッチなどを通じてそれを知ることができたらしい。またミケランジェロのシスティーナ礼拝堂天井画などに対する対抗意識もあったとされ、作品の構想があまりに大胆で革命的であったために、聖堂側が受け取りを拒否しそうになったとも伝えられている。
1518年5月に盛大な除幕式が行われ、ティツィアーノはこの大祭壇画に続いて、ヴェネツィアや周辺都市のパトロンから次々に大型祭壇画の委嘱を受けている。
1510年代
ティツィアーノ Tiziano
聖母被昇天
1516〜18年 板 油彩 690×360cm
ヴェネツィア サンタ・マリア・グロリオーサ・ディ・フラーリ聖堂
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3