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ラザロの蘇生

枢機卿ジュリオ・デ・メディチ(後の教皇クレメンス7世)が管轄区フランスのナルボンヌ大聖堂のために制作させた大祭壇画。同聖堂にはラファエロの「キリストの変容(1518〜20年)」も予定されていたのでセバスティアーノは対抗心を強めたらしい。ラファエロが制作中に死去したため「キリストの変容」は弟子によって完成された。
キリストとラザロを結ぶ線で画面を分け、それによって動感が生まれている。周囲にいる多くの人々のさまざまなポーズが画面を複雑にしているが、英雄的なキリストと右足を上げた力強いラザロの姿が劇的な効果と厳粛な雰囲気を作っている。ラザロとその背後の人物はミケランジェロの下絵が残されていて、キリストの下絵もあったのかもしれない。
背景のローマらしい廃墟と橋はヴェネツィア派らしいが、ジョルジョーネ風の詩情は消え、知的な構成がみられる。入念に仕上げられた作品で、ローマ絵画の壮大さとヴェネツィア絵画の華麗さの総合を目指した、セバスティアーノの終着点ともされる。
レオナルド・セッライオがミケランジェロに宛てた手紙が残されていて、1517年に着手され、1519年初めに完成したことがわかる。
1510年代
セバスティアーノ・デル・ピオンボ Sebastiano del Piombo
ラザロの蘇生
1517〜19年 板(カンヴァスに移行) 油彩 381×289cm
ロンドン ナショナル・ギャラリー
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3