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ピエタ

1511年春、ローマへ移ったセバスティアーノ・デル・ピオンボは、銀行家アゴスティーノ・キージの新築のヴィッラ(ヴィッラ・ファルネジーナ)でオウィディウスの「変身物語」のエピソードを8面のリュネットに制作した。同時期にラファエロが「ガラティア」を描いていて、お互いに影響しあっていた。仕事の受注をめぐって二人が対立するようになると、セバスティアーノはミケランジェロに接近した。
地面に横たわるキリストはたくましい体つきだが土気色で、白い布と強いコントラストをなしている。その死を悲しむ聖母は岩に座り、両手を握りしめ天を仰いでいる。三角形構図をなす二人は量感を強調され、彫刻的に描かれている。
背景はヴェネツィア絵画を思わせる抒情性を示している。日が沈み、マリアの頭上の雲間に月が見える。荒涼とした丘の上を冷たい風が吹き抜けている。
教皇庁の聖職者が出身地ヴィテルボのサン・フランチェスコ聖堂のために依頼した祭壇画。制作年についての記録は残されていないが、1517年にヴィテルボの画家がこの作品と類似点の多い「ピエタ」を制作しているため、それ以前と考えられている。
1510年代
セバスティアーノ・デル・ピオンボ Sebastiano del Piombo
ピエタ
1515年頃 板 油彩 270×225cm
イタリア ヴィテルボ 市立美術館
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3