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キリストの変容

1517年に枢機卿ジュリオ・デ・メディチからフランスのナルボンヌ大聖堂のために注文されたもの。セバスティアーノ・デル・ピオンボの「ラザロの蘇生」とともに発注されたもので競作だったらしい。
「キリストの変容」は使徒のペテロ、ヤコブ、ヨハネがイエスとともにタボル山に登ったとき、突然、イエスの顔は太陽のように輝き、衣服は光のように白くなり、そこにモーセとエリヤが現れてイエスと語り合った。光り輝く雲間から声が聞こえ、そのとき使徒たちは怖れてひれ伏したというもの。画面上半分はこの主題で従来から多く制作されていた。
画面下半分にはキリストが不在中に現れた悪魔に憑かれ、両手を上下に広げた少年。使徒たちではどうにもならず、戻ってきたキリストによって癒やされた。「キリストの変容」と同じ画面に描かれた先例は見られないとされる。
当初の計画案には見られず、1518年の素描で現れた少年は、当時のカトリック教会・キリスト教徒を表しているとされる。ルターの宗教改革と1516年にエジプトを制圧したオスマン・トルコ。人類の救いは使徒たちだけではできず、キリストの神秘の息子・教皇のカトリック教会の助力が不可欠としている。
1510年代
ラファエロ Raffaello
キリストの変容
1518〜20年 板 油彩 405×278cm
ヴァティカーノ絵画館
世界美術大全集12 イタリア・ルネサンス2