大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

ヴァティカーノ宮 署名の間

ユリウス2世(在位1503〜13)は従来の教皇居室「ボルジアの間(先々代アレクサンデル6世)」に住むことを嫌って、その上の階に移っていた。すでに他の画家たちによって装飾が進められていたが、ごく一部を除いてラファエロの壁画に替えられることになった。1506年ペルージャを訪れた教皇はラファエロの「聖母戴冠(オッディ祭壇画 1502〜03年頃)」を見ていたらしい。
「署名の間」は教皇の私的な図書室、ここで書類の署名や捺印をしていた。装飾計画も基本的には中世からの図書室装飾の伝統によっていた。人間の知識を神学、哲学、法学、詩の4つの能力に分けて擬人化するもの。当時マルシリオ・フィチーノの著作によって広まっていた、キリスト教的プラトン主義の「真・善・美」とを組み合わせる図像計画が人文学者や神学者によってたてられた。
真 「聖体の論議」(この命名は17世紀の誤った解釈によるもので教会の勝利を意味している 神学)と「アテネの学堂」(哲学的真実・自然の真理)
善 「ユスティニアヌス法典の公布」「教令集の公布」
(キリスト教徒が守るべき美徳 法学)
美 「パルナッソス」(古今の詩人たちの集い)
天井画とも組み合わせた構成になっている。
1500年代
ラファエロ Raffaello
ヴァティカーノ宮 署名の間
1508〜11年 フレスコ
ヴァティカーノ宮
世界美術大全集12 イタリア・ルネサンス2