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牧場の聖母

キリストの母マリアが「神の母」とされたのは431年のエフェソス宗教会議。聖母のイメージはいくつかのタイプに分かれ、礼拝像として展開していた。イタリアではマリアの母性が重視され、荘厳な祭壇画よりも家庭の一室や庭先などにその姿が描かれるようになった。そこには将来の受難を予告する茨の冠や釘などが描かれたり、不死や再生を象徴する薔薇の花やザクロの実が見る者の注意をひくように描かれていた。
レオナルドになると象徴などは目立たないようにされ、芸術的技法などでマリアの聖性が表されるようになった。ラファエロはレオナルドから多くを学んでいる。3人によるピラミッド的構図、聖母の下向きの表情や伸ばされた右足など。背景はレオナルドの荒涼とした世界ではなく緑の牧場とし、ヨハネが十字架形の杖を幼児キリストに手渡すことで象徴で表す部分も残している。
ウフィツィ美術館に残されているペン素描では3人の4通りの組み合わせが試されている。聖母の衣裳の縁に M.D.V.I(1506)の年記がある。
1500年代
ラファエロ Raffaello
牧場の聖母
1506年 板 油彩 113×88cm
ウィーン 美術史美術館
世界美術大全集12 イタリア・ルネサンス2