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玉座の聖母子と聖人たち(サン・ザッカリーア祭壇画)

教会堂の祭室を「聖会話」の舞台にし、左右に風景を加えて現実の採光と同じ左から外光が射している。上部には駝鳥の卵がついたランプが下がっている。ピエロ・デッラ・フランチェスカの「ブレラ祭壇画(1460年代末)」にも描かれているが、純白・形の完全さ・その大きさなどから神秘の受胎によるキリストの誕生を象徴しているとされる。玉座には幼児キリストの血統来歴を示すために旧約のダヴィデ王の頭部彫刻が飾られている。
聖母子は玉座に座り見上げるように描かれていて、その足下では天使がリラ・ダ・ブラッチョを奏でている。幼児キリストは聖母の膝に立ち右手で祝福のポーズをとっている。左足は聖母の手のひらを踏もうとしているように見えるが、キリスト復活の図像で甦ったキリストが石棺の縁を踏んでいることから、キリストの復活と関連づける説もある。
聖母子の左に天国の鍵を持った聖ペテロとアレクサンドリアの聖女カタリナ、右にシラクサの聖女ルチアと書物を読んでいる聖ヒエロニムス。殉教聖女は棕櫚の枝と殉教のしるし、車輪とガラス容器を持っている。
「ジョヴァンニ・ベリーニ作 1505年」の署名年記があり、作者の祭壇画の到達点を示す作品とされる。ヴァザーリは「芸術家列伝(第2版 1568年)」で「非常な配慮を尽くして制作」と記している。
1500年代 拡大画像
ジョヴァンニ・ベリーニ Giovanni Bellini
玉座の聖母子と聖人たち(サン・ザッカリーア祭壇画)
1505年 板(カンヴァスに移行) 油彩 500×235cm
ヴェネツィア サン・ザッカリーア聖堂
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3