大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

受胎告知

フランチェスコ・ディ・ジョルジョ・マルティーニ(1439〜1501)シエナの貧しい鶏屋の家に生まれたが、才気煥発で活動的な人で、絵画、彫刻、ミニアチュール、建築のほか土木・軍事技師をつとめ、「建築論」も書いている。ウルビーノ公がカステッリーナ・イン・キャンティを攻め落とした際の軍事技師として名を挙げ、五角形のルネサンス要塞建築は彼が創始したとされている。ウルビーノをはじめ各地で彫刻や建築などの仕事をした後、シエナに戻ってからも大聖堂の主任建築家(カポマエストロ)、市の最高首脳の一人に選ばれるなど活躍した。
比較的若い頃、1470年代前半に制作されたらしいこの作品は、幻想的で中世的でもある。遠近法による空間は歪められ、建築や床の模様も合理的な表現とはいえない。フィレンツェで始まった遠近法が、中世以来の伝統を残すシエナでとり入れられる過程を示している作品のように思える。
生き生きとした空間での聖母と大天使ガブリエルの対話は、微笑ましく魅力的。彼の絵画作品で、最も知られている作品のひとつ。
1470年代
フランチェスコ・ディ・ジョルジョ・マルティーニ
Francesco di Giorgio Martini
受胎告知
1470〜75年 板 テンペラ 74×48cm
シエナ 国立絵画館
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1