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聖母子と二天使

ヴェロッキオの真作とされる絵画作品はきわめて数少ない。この作品の作者についても多くの画家の名前が挙げられていたが、ヴェロッキオ工房作ということではほぼ一致し、最近ではヴェロッキオ自身の作とする説も増えている。質の高さからヴェロッキオ工房の規準作の一つとされている。
豪華なブロケードの垂れ幕の下に聖母が座り、その膝の上で柘榴(受難の象徴)を口にする幼児キリストを礼拝している。聖母の衣裳や髪飾り、装身具は当時のフィレンツェ女性のモードを反映している。青いマントの肩には聖母の象徴、海の星が付けられている。
聖母の頭部や天使はヴェロッキオ工房の特徴と一致している。克明な描写、硬質で明確な線的・彫塑的フォルム、工芸的細部表現、鮮やかな固有色の輝きなど独特の強い表現と様式的統一性をもっている。背景の細部まで描き込まれた風景表現にはレオナルドの風景素描(1473年)からの影響もあるとされる。
1470年代
ヴェロッキオ Verrocchio
聖母子と二天使
1470年代 板 テンペラ 96.5×70.5cm
ロンドン ナショナル・ギャラリー
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1