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聖セバスティアヌスの殉教

ヴァザーリによるとアントニオが描いた、フィレンツェのサンティッシマ・アンヌンツィアータ聖堂プッチ礼拝堂のための祭壇画。(他の資料ではピエロが制作)1475年に完成、セバスティアヌスは実在の人物の肖像が描かれたとされている。
前景の射手たちに見られる(二人ずつ同じようなポーズをとっている)緊張したアクションの表現と解剖学的観察で、モデルに同じポーズをとらせて写生したか、モデル彫刻(粘土・蠟)を使って描かれたとされる。ヴァザーリはこの祭壇画がアントニオの作品中最も大きな称讃を博した作品とし、その迫真的な描写を讃えている。
背景には澄み渡った大気と光に満たされたパノラマ風景が広がっている。フィレンツェの画家とフランドル絵画からの影響に加えて、スケールの大きな空間把握と光の感受性が見られる。前景・中景・背景のつながりにぎこちなさが見られるが、背景のアルノ川渓谷の描写は優れている。画面の兄弟の分担には諸説がある。前景の4人の射手と遠景の風景描写はアントニオが描いたとされている。

1470年代
ポッライウォーロ兄弟 Antonio e piero del Pollaiuolo
聖セバスティアヌスの殉教
1475年頃 板 テンペラ 292×203cm
ロンドン ナショナル・ギャラリー
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1