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聖母戴冠(ペーザロ祭壇画)

アドリア海に面した港町ペーザロのサン・フランチェスコ聖堂に由来する祭壇画。従来の多翼祭壇画形式とは異なり、中央パネルの聖母戴冠が大きく描かれている。額縁を含めて当初のままだが、頂上部の「死せるキリストへの塗油」はナポレオン軍によって持ち去られ、後に返還されてヴァティカーノ絵画館に置かれている。
中央パネル上部にはセラフィム群の赤い輪の中に白い鳩(聖霊)がいて聖母戴冠を祝福しているように見える。その下には城郭風景を描いた衝立があって、その前で聖母マリアがわが子キリストから冠を受けている。左には剣を持った聖パウロと本を読んでいる聖ペテロ、右には白髭の聖ヒエロニムスと胸の聖痕が見える聖フランチェスコ。各人は静かに自らの思索に入っているように見える。
左右のパネルには「聖女カタリナ」「洗礼者聖ヨハネ」などのほか、右上には当地の「福者ミケリーナ・ディ・ペーザロ」も描かれている。下部7面のプレデッラには左から「竜と闘う聖ゲオルギウス」「聖パウロの回心」「聖ペテロの磔刑」「キリスト降誕」「荒野の聖ヒエロニムス」「聖痕を受ける聖フランチェスコ」「聖テレンツィオ」。
衝立や床の模様は整然とした遠近法で描かれている。
1470年代 拡大画像
ジョヴァンニ・ベリーニ Giovanni Bellini
聖母戴冠(ペーザロ祭壇画)
1475年頃 板 油彩 262×240cm(中央パネル)
イタリア ペーザロ 市立美術館
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3