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聖母子と聖人たち(多翼祭壇画)

クリヴェッリの祭壇画の多くは分散され、それぞれ別の美術館に収められている。この「聖母子と聖人たち」は額縁もオリジナルのまま、制作当初と同じ場所に置かれている。1973年に修復されている。
下段のプレデッラにはキリストを中心に左右5人ずつの聖人半身像。聖人たちは対になって心理的ドラマを演じている。中段は中央に玉座の聖母子像、左から聖ペテロ、洗礼者聖ヨハネ、聖エミディウス(アスコリの守護聖人)、聖パウロと並んでいる。上段は中央にピエタ、左からアレクサンドリアの聖女カタリナ、聖ヒエロニムス、聖ゲオルギウス、聖女ウルスラと並んでいる。聖母の足下に署名と制作年。
玉座の聖母子はそれまでの聖母子像を発展させたもので成熟した形態になっている。ピエタは人物を計算された遠近法で描いていて、背景の金地に対して三次元空間を示している。
クリヴェッリについてはヴァザーリも伝えてなく、生涯に関する記録も少ない。硬質な質感など個性が強く、20世紀半ばになって作品の評価が確定した。
1470年代 拡大画像
クリヴェッリ Crivelli
聖母子と聖人たち(多翼祭壇画)
1473年 板 テンペラ 136×66cm(玉座の聖母子)
イタリア アスコリ・ピチェーノ 大聖堂
世界美術大全集12 イタリア・ルネサンス2