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キリストの磔刑

背景にはメッシーナの風景が描かれているが、年記署名からヴェネツィア滞在初期の作品とされている。十字架上のキリストと左右の二人の盗賊、その下には悲しむ老マリアと若い聖ヨハネ。
垂直線と水平線を強調した左右対称の構図に人物や風景がゆったりと配され、二人の盗賊の身体は裸木の曲線と呼応している。感情表現は抑制され背景の平和で牧歌的風景によって聖書の悲劇は白昼の瞑想的幻影となっている。
1455年頃の作とされる「キリストの磔刑(ブカレスト国立美術館)」は北方画家の同主題作をモデルとし、背景にメッシーナの風景が描かれている。この作品では格段の成熟がみられ、ジョヴァンニ・ベリーニの影響もあってジョルジョーネの「無主題(物語主題の曖昧化と風景との融合)」の先駆けになっているともされる。
19世紀初めにヘントの個人コレクションからアントウェルペン市長に渡り、1841年に王立美術館に入った。
1470年代
アントネッロ・ダ・メッシーナ Antonello da Messina
キリストの磔刑
1475年 板 油彩 59.7×42.5cm
アントウェルペン 王立美術館
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3