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書斎の聖ヒエロニムス

1430年頃、シチリア島のメッシーナで生まれたアントネッロは1445年から10年間ナポリの地方画家コラントニオのもとで修業したとされている。15世紀半ばのナポリはフランスのアンジュー家、スペインのアラゴン家の支配下でフランドル、プロヴァンス,カタルーニャの絵画からの影響も強かったらしい。コラントニオはこれらとイタリアの作品を折衷、合成した作品を描いていた。
1457年アントネッロはメッシーナで独立した画家として記録に現れる。結婚して弟子を1年以上前から雇っている。1460〜65年にかけて順調な制作活動をしている。しかし1465年から73年にかけての記録は残されていない。この間ヴェネツィア、フランドル、ローマなどへ行ったなどと推測されている。
1473〜74年にメッシーナに戻って祭壇画などを制作、1475年にヴェネツィアに招かれて1年半滞在している。1476年メッシーナに戻って制作活動を続けていたが、79年病に倒れ、死亡した。
上図「書斎の聖ヒエロニムス」の対称的な構図、床の模様にみられる空間構成などにピエロ・デッラ・フランチェスカからの、細密な描写や質感の表現などにはフランドルからの影響が見られる。1475年のヴェネツィア滞在時に描かれた作品とは違う客観的で透明な表現から、1470年代初め、最初にヴェネツィアを訪れたときに描かれたとも考えられている。
1470年代
アントネッロ・ダ・メッシーナ Antonello da Messina
書斎の聖ヒエロニムス
1470〜74年頃 板 油彩 46×36.5cm
ロンドン ナショナル・ギャラリー
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3