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羊飼いの礼拝

アレッシオ・バルドヴィネッティ(1425年頃〜1499年)
ドメニコ・ヴェネツィアーノに学び、フラ・アンジェリコ、カスターニョの共同制作者でもあった画家。フィレンツェに生まれ、サヴォナローラの神権政治とその処刑まで生きていたが、彼の作品からその時代は感じられない。
フラ・アンジェリコのサンティッシマ・アンヌンツィアータ聖堂の銀器棚扉35場面のうち3場面が最初の仕事とされている。しかしその作品からは「凡庸な技術修得者」の姿しか見えない。同時代の代表的画家が研究していたさまざまな問題を深く追求することなく、表面的に理解し応用していった職人画家に留まったとされている。
右図「羊飼いの礼拝」にはバルドヴィネッティの最も充実した成果が見られるとされる。中央に煉瓦積みのような建物の廃墟、壁には蔦が文様のように並び、壁の亀裂や構造が不明な壊れかけた屋根も装飾的要素になっている。左には遙か彼方の山まで続く平原を蛇行する川と道、点在する家と樹木が見える。テンペラで描かれた聖母子の部分は大きく剥落しているが、画面全体の配色の調和はとれている。この回廊の作品の中でも古拙様式が目立っている。
1470〜80年代のフィレンツェではバルドヴィネッティの古拙様式も、絵画探求の多様性の中で認められ、画家たちへの影響力も持っていた。創造力に恵まれない限界を感じたのか、晩年はモザイク修復に専念したという。

1460年代
アレッシオ・バルドヴィネッティ Alessio baldovinetti
羊飼いの礼拝
1460〜62年 フレスコ テンペラ 350×280cm
フィレンツェ サンティッシマ・アンヌンツィアータ聖堂前庭回廊
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1