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復活のキリスト

1459年ピエロ・デッラ・フランチェスカは教皇に招かれて、ヴァティカーノ宮で壁画を描いた。大変な名誉で、ローマで学んだことも多かったとされるが、その壁画はラファエロが壁画を制作したときに破壊されてしまった。
死に対する勝利を表す白地に赤い十字の旗を持ち、棺に左足をかけて立ちつくしているキリスト。棺の前には4人のローマ兵がいて、後ろの二人は眠り、手前の二人は目覚めている。背景には丘陵が続き、左に葉を落とした裸木、右には葉の茂った木が描かれている。作品全体は対角線の構図になっている。
このサンセポルクロの役場に描かれていた作品は、キリストの復活の物語を描いたものではなく、復活したキリストを描いている。サンセポルクロとは「聖なる墓」、キリストの墓の意味。伝承では、ある修道士がエルサレムから持ち帰ったキリストの墓の聖遺物を安置するための礼拝堂が建てられ、そこから町が発展したとされる。サンセポルクロの守護者は「復活したキリスト」で、役場に描かれたこの作品は、市の守護者としてのキリスト像の可能性が高いとされる。
ピエロ・デッラ・フランチェスカの作品については多くの解説がなされている。ここでは「イタリア絵画史」ロベルト・ロンギ 筑摩書房を紹介しておきたい。
1460年代
ピエロ・デッラ・フランチェスカ Piero della Francesca
復活のキリスト
1465年頃 壁画 フレスコ 225×200cm
サンセポルクロ 市立美術館
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1