大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

月暦図 3月

1385年にフェッラーラの町はずれに建てられたスキファノイア邸は1465年以降に増改築が行われ、1469年から2階大広間の絵画装飾が多くの画工によって始められた。この壁画は広くは知られていなかったらしくヴァザーリは言及していない。
1736年にはタバコ工場として使われ、壁4面の壁画は漆喰で塗り込められた。1821年以降、漆喰が取り除かれて壁画が再び見えるようになった。3・4月の部分の保存状態は良く、デル・コッサの書簡から3・4・5月は彼が描いたとされるが、5月は画質が落ちることからコッサの下絵を基に弟子が描いたと考えられている。
「3月」上段中央には2頭の白い一角獣が引く凱旋車にミネルヴァが座っている。メドゥーサの頭飾りが胸についた鎧をまとい、左手に本、右手に槍を持ち、その頭には損傷がひどいが彼女の鳥フクロウがいる。右には糸紡ぎと刺繍・機織りをしている娘たち、左には学者の一群がいる。ボルソ公が推進した織物産業とフェッラーラ大学を暗示しているとされる。
中段中央には牡羊とカシオペア座を示す赤い衣裳の少女。右にはタイツ、胴衣の上に袖の広い上着を着けて、矢と円環を持った若い男、左にはマルスとかかわり、ペルセウスとケフェウス座を思わせる「黒い男」。
下段右では、扉口の上にIVSTICIA(正義)と彫られたルネサンス様式の建物の前で廷臣たちに囲まれて正義を行うボルソ公、左側には狩りに出かける宮廷人たち。遠景では葡萄の剪定をしている。
1460年代 月暦図 4月
フランチェスコ・デル・コッサ Francesco del Cossa
月暦図 3月
1469〜70年 フレスコ テンペラ 約450×365cm
イタリア フェッラーラ パラッツォ・スキファノイア
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3