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慈悲の聖母(ミゼリコルディアの多翼祭壇画)

1445年にボルゴ・サン・セポルクロのミゼリコルディア同信会がピエロに注文した多翼祭壇画の中央パネル。契約書には、現在に残るものと同じ大きさ、形式にすること。3年で完成すること、上質の金とウルトラマリンを用いること、10年以内に損傷が生じた場合は責任を持つこと、などが定められている。
1454年に父親が催促されていることから3年では完成しなかったらしい。1462年に同信会からピエロの兄弟に少額の支払いがされていて、この祭壇画の支払いの一部だともされている。
聖母がマントを広げて直立し、ひざまずく男女8人の同信会会員たちを保護している。聖母がマントで信者を守る図像は「慈悲(ミゼリコルディア)の聖母」と呼ばれ、当時よく描かれていた。この図像や金地の背景は同信会の意向に沿ったものらしい。聖母は幾何学的形態で描かれているのに対し、信者たちは現実感を持って描かれていて、会員たちの肖像と考えられている。
ミゼリコルディアの多翼祭壇画 1440年代
ピエロ・デッラ・フランチェスカ Piero della Francesca
慈悲の聖母(ミゼリコルディアの多翼祭壇画)
1453〜54年頃 板 テンペラ 134×91cm
サンセポルクロ 市立美術館
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1