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マグダラのマリア

サン・ジョヴァンニ洗礼堂内、南西側に設置されていたとされる木彫。本来の意図は不明。髪や衣裳は鍍金され、肉体も多彩な顔料で彩色されていた。
マグダラのマリアは香油壺のようなアトリビュート(付属物)を持たず、ただひたすら祈っている。
マグダラのマリアのミサの際、読誦されていたという「詩篇」の一節「あでやかさは虚偽であり、美もむなしい。しかし主を怖れる女は褒めたたえられん」を思わせる。美しい娼婦だったとされるマグダラのマリアはキリスト昇天の後、30年以上荒野で苦行を続けたとされる。
この欠け落ちた歯、落ちくぼんだ頬、虚空をさまよう視線で神の声を求める像はリアリズムを越えてドナテッロの精神を表している。長い髪だけで体を覆ったマグダラのマリアの禁欲的な姿はトスカーナではよく知られたものだった。地方の教会堂にはドナテッロの作品を予告するような多数の木彫像があり、トスカーナでのこの聖女への崇拝を表している。
1450年代か60年代の初め、デジデリオ・ダ・セッティニャーノは現在サンタ・トリニタ聖堂ににある彩色木彫「マグダラのマリア」を制作している。

1450年代  
ドナテッロ Donatello
マグダラのマリア
1450年代後半 木 彩色 高さ188cm
フィレンツェ 大聖堂美術館
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1
イタリア・ルネサンスの巨匠たち8 ドナテッロ
フィレンツェの美術上巻 日本放送出版協会