大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

マリアの神殿奉献

ヤコポ・ベリーニの作品の多くは失われている。しかし大英博物館とルーヴル美術館に残されている2冊の素描帖によって、彼が初期のヴェネツィア絵画に与えた大きな影響を知ることができる。1440年に科学者によって著された遠近法についての論考はヤコポに捧げられていて、彼がこの分野で良く知られた存在だったことを示している。
大英博物館の素描帖はヤコポの未亡人から長男ジェンティーレに贈られ、弟ジョヴァンニその他の手を経て1855年に大英博物館に入った。ルーヴル美術館の方は、1479年にコンスタンティノープルに招かれたジェンティーレがスルタン・メフメット2世に贈ったものとされている。制作時期は15世紀半ばの一時期とする説と、1430年代から50年代にかけた長い期間とする説がある。大英博物館の方は準備スケッチで、ルーヴルの方は十分に発展し完成されたものとみられている。
内容は聖書その他の説話と建築や風景が結びついたもので、考古学・幾何学・裸体像・人体解剖などへの関心がみられる。遠近法についての関心は非常に強く、建物を描くときには壮大で、空想的な構成にもなっている。右図「マリアの神殿奉献」でも物語の主題は中景かさらに奥に描かれている。
1440年代
ヤコポ・ベリーニ Jacopo Bellini
マリアの神殿奉献
1440年代 素描 42×29cm
パリ ルーヴル美術館
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3