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ジョン・ホークウッド騎馬像

1430年ヴェネツィアから戻ったウッチェロはフィレンツェ大聖堂のための絵画制作の受注を願い出た。大聖堂造営管理局はヴェネツィアでの仕事の評価や俸給額をヴェネツィア駐在フィレンツェ大使に問い合わせたりしているが、ウッチェロが制作の依頼を受けたのは1436年5月だった。
1395年に大聖堂内壁に描かれていた傭兵隊長ジョン・ホークウッド騎馬像の描き替えの仕事だった。約1ヵ月で完成したが、依頼主は描き直しを命じている。8月30日教皇エウゲニウス4世が大聖堂円蓋の祝別式(竣工ミサ)を行っているが、その頃には描き直しは完成していた。
画面の下半分、石棺は左下を消失点にした遠近法で描かれているが、騎馬像は横から見たように描かれている。大聖堂の入口から入った人がこの絵を見るために進んでくると、その視点から見たように描かれた石棺があって、馬の脚を通して視線が騎馬像へ向かうように計算された構図らしい。ヴァザーリはこの騎馬像を、馬の実際の歩運びに反する脚の形を除けば完璧な作品と絶賛しているが、それは意図的なもので、馬の四本の脚を石棺の消失点から伸びる放射線上に描くことで、画面の上下を結びつけているとされる。
(コジモ・デ・メディチが追放されていたヴェネツィアからフィレンツェに戻ったのは1434年)

1430年代
パオロ・ウッチェロ Paolo Uccello
ジョン・ホークウッド騎馬像
1436年 フレスコ 820×515cm
フィレンツェ サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1