大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

跛者を癒やす聖大ヤコブと大ヤコブの殉教

カッラーラ家に仕えるソラーニャ侯爵による礼拝堂装飾にアルティキエーロと共作者ヤコポ・アヴァンツィが招かれた。ヤコポは1376年5・6月に死去したらしく、以後下段に描かれた壁画はアルティキエーロが描いている。
聖大ヤコブは巡礼者の守護聖人。聖アントニウス崇拝の巡礼者を迎えるサンタントニオ聖堂にふさわしい主題。八つのリュネットに描かれた「聖大ヤコブ伝」のなかのひとつ。
ヤコポ・アヴァンツィの作品は三次元空間の暗示でも場面全体が統一的に扱われていない。人物の容貌表現や陰影法はジョット以来の型にはまったもので、彩色法は粗野な筆遣い。アルティキエーロの自然主義とは異なったもの、とされているが、この作品ではそれが躍動感を生んでいる。左下のサイズは小さすぎる少年や後景で山道を登るロバと人など。