ドメニコ会地方参事会の集会室に描かれたドメニコ会の栄光を讃美する壁画。16世紀にスペイン出身のドメニコ会修道士たちが使用したことから「スペイン人礼拝堂」と呼ばれるようになった。

上段には鍵と書物を持つ栄光のキリスト。
下段左、建設中のフィレンツェ大聖堂を背に教皇、宝珠と剣を持つ皇帝、ドメニコ会修道院長が並びキリスト教徒が集まっている。
下段右、聖ドミニクスが羊（キリスト教徒）を狙う狼を襲うように犬をけしかけ、殉教聖人ペトルスが説教をし、トマス・アクィナスは「神学大全」の解説をしている。
その上、灌木に囲まれた四阿は音楽と踊りに満ち、その外で告解を聞くドメニコ会士、その左で聖ドミニクスが告解者を聖ペテロが見守る天国の門へ誘っている。門の左では救済された人々が栄光のキリストを仰ぎ見ている。
犬はドメニコ会のラテン語名との語呂合わせから、「神の番犬」として神からドメニコ会が世界宣教の先兵に任じられたことを示す象徴的動物。そのため犬はドメニコ会僧服と同じ黒と白のぶち。
1360年代　拡大画像

アンドレア・ダ・フィレンツェ　Andrea da firenze
教会の伝道と勝利
1366〜68年　フレスコ
イタリア　フィレンツェ
サンタ･マリア･ノヴェッラ聖堂スペイン人礼拝堂
世界美術大全集10　ゴシック2