この画面に描かれているのは、仕事にはげむ農民たちと狩りへ向かう都市貴族たち、そして荷物をのせたロバと共に街道をゆく商人たち。貴族たちの間には物乞いの姿や市場に猪を売りに行く農夫の姿もある。大商人が中心となっていたコムーネ政府の重要な課題が街道の安全だった。また遠くにシエナがリグリア海岸に築こうとしたタラモーナ港も描かれている。
城門の上を飛ぶ「安全」は、左手に絞首刑台を持ち、右手には巻物を持っている。そこに書かれた銘文には「正義」が支配する限り、商人は安全に通行でき、農民は安心して耕作できる、と記してある。城門に据えられた「シエナの狼」が見える。

アンブロージョ・ロレンツェッティ　Ambrogio Lorenzetti
善政の効果（田園）
1338〜1340年　フレスコ
イタリア　シエナ　パラッツォ・プッブリコ
画像　イタリア・ルネサンスの巨匠たち6
　　　ロレンツェッティ兄弟　東京書籍
説明　世界美術大全集10　ゴシック2 　　　　

1330年代　善政と悪政の寓意　拡大画像左　右