大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

善政の寓意

この画面には市政をつかさどった上層市民たちの政治思想と政治的理想が表現されている。その中心となったのが自由と独立を求める共和主義。
右に大きく描かれている裁判官風の老人が「公共善」。シエナの紋章と同じ色の衣服をつけ、手には市の印章、足下には「シエナの狼」、顔の両側にある CSCV は「シエナ市、聖母の都市」の頭文字。頭上には3つの対神徳、信仰・慈愛・希望。両側には美徳を表す6人の擬人像、剛毅・賢明・節制・正義4つの枢要徳に雅量・平和を加えたもの。平和が古代風の衣服を着け、ゆったり腰掛けて目立っている。市民が渇望したのは平和だった。
左に大きく描かれているのが「正義」。その頭上に書物を持った叡知、その叡知は天秤を持っていてその皿の左側に赤い服の「分配的正義」、右に白い服の「交換的正義」が乗っている。分配的正義は善悪による栄誉と恥辱をつかさどり、交換的正義は正しい行い(詐欺をせず、負債を返済する)を求めている。
都市国家と市民に共通する善を第一に考え、正義を実行する。その善と正義を合わせるのが「和合」(法の下の平等を表す鉋を膝に置いている)。両方の天秤の皿から伸びる2本の紐を持ち、それを合わせて24人の評議会の1人に渡している。24人の評議会によって「公共善」のもとに運ばれ、彼の持つ笏につながっている。