大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

ルネサンス以前のイタリア彫刻 1

1260年の年記があるニコラ・ピサーノのピサ洗礼堂説教壇にはナポリ王国の帝国様式が色濃く残されている。
その後ニコラ・ピサーノの工房は各地で活発に制作している。1264年にボローニャで委嘱された「聖ドミニクス墓碑」を1267年までに完成させている。この作品は8本の支柱で支えられていたが、15世紀に改変されている。人物像は矩形の顔立ちや量感に満ちた形態把握のなかに柔和な甘美さが示されていて、制作にあたってはアルノルフォ・ディ・カンビオの寄与が大きいとされる。
1265年に委嘱された八角形のシエナ大聖堂説教壇は1268年に完成させている。アルノルフォ、息子ジョヴァンニ・ピサーノ他4人の弟子が制作に関わっている。ニコラ作とされる「キリストの磔刑」では衣裳が縁取りをされ、人物はより複雑な動きをしている。
これらの仕事と並行してピサ洗礼堂外側第2層アーケードのギャラリーを飾る彫像も制作している。ニコラは早くからこの仕事に取りかかり、断続的に長期にわたって続けられたらしい。
1370年代にはピストイア大聖堂の「聖ヤコポ祭壇」の再建に関与、1378年には息子ジョヴァンニと共にペルージャの大噴水を完成させている。
ペルージャの市庁舎と聖堂に囲まれた広場に造られた噴水。都市の繁栄を表す壮大さを持ち、中央にブロンズ製女性群像を載せた水盤、その下に2層の大理石の水盤が囲んでいる。外側にはそれぞれが2枚の浮彫りを持つ25面のパネルで12ヵ月の労働、自由学芸などフランス・ゴシックの影響を想わせる図像が並ぶ。内側の水盤は24角形、各柱を24体の擬人像で飾っている。旧約聖書の王や預言者たち、ペルージャの漁場トラジメーノ湖、穀倉キウージ、行政長官や軍事長官など現実の人物も刻まれている。
ピサ洗礼堂説教壇 ピサ洗礼堂 ペルージャの大噴水